カシオペア座、ペルセウス座、アンドロメダ座を見つけよう

 秋もそろそろ本番を迎えようかというこの季節、夜空の方も一気に秋の星座が見え始めます。秋の星座は暗い星で形作られたものが多く、探し出すのに結構骨の折れる場合があります。そんな中、ここでは比較的探しやすいカシオペア座、ペルセウス座、アンドロメダ座の3つの星座を紹介したいと思います。みなさんも、ぜひつるちゃんと一緒に探してみてください。それではご一緒に・・・。

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(おい、秋の星座3つと言わず、全部紹介せんかいな。)
つる: そんないっぺんに覚えられへんやろ。3つぐらいが、ちょうどええんや。
(ほんまは、ページを作るのが面倒なだけなんやろ。)
つる: 内情をばらすなよなっ!
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どの方向を見ればいいの?

 今頃の季節でしたら、秋の星座は主に南−南東−東−北東の方向に見えています。なんだ、半分は秋の星座じゃん。そうなんです。夜空は秋の星座でいっぱいです。その中で、今回紹介するカシオペア座、ペルセウス座、アンドロメダ座は東から北東の方向に見えます。下には、10月1日20時と11月1日20時の星図を入れておきますので、参考にしていただければと思います。ここでは東京の星空を紹介していますが、日本国内であれば、見え方にそれほど違いはありませんのでご心配なく。

10月1日20時 北東の空のようす

10月1日20時 北東の空のようす

11月1日20時の場合

11月1日20時 北東の空のようす

カシオペア座

W字型・・・じゃないよ

 カシオペア座は、北斗七星とならんで、小中学校の理科の教科書にも登場するほど有名な星座です。ペルセウス座はわからなくても、カシオペア座ならわかるよ、という方も多いのではないでしょうか。カシオペア座といえば、すぐに思い浮かべるのが「W字型」ですが、この季節はW字型を横に90度回転させたような格好をしています。

 星座絵では、カシオペア座は椅子に腰掛けたエチオピア王妃の姿が描かれています。この時期に見えるカシオペア座は、ちょうど王妃が腰掛けた姿そのままの格好で見えます(横を向いたり、逆さまを向いたりしていません)。M型の真ん中の星が王妃の腰の部分にあたるのですが、つるちゃんの場合、やはりどう見ても王妃には見えませんが、みなさんはいかがでしょうか。

北東の空

 前置きはこれくらいにして、北東の空を見上げてみてください。10月1日20時でしたら40度、11月1日でしたら60度くらいの高度になります。2等星3個と、3等星2個でできたカシオペア座の特徴的な形がすぐ目に止まることと思います。街明かりの激しい場所からはちょっと見えないかもわかりませんが、水銀灯などの光が直接目に入らない場所に移動すればなんとかわかるんじゃないかと思います。

秋の天の川

 空が十分に暗い場所なら、カシオペア座の背景には秋の天の川が流れている様子がわかります。天の川は、夏の天の川がもっとも濃く、秋、冬と続くにつれて淡くなっていきます。カシオペア座付近の天の川は夏の天の川の延長で、それほど淡いわけではありませんので、比較的見えやすいと思います。もちろん、天の川にしてはという前提ですが。

 余談ですが、天の川には「春の天の川」はありません。(南半球の国からは見えるはずなのですが、「春の天の川」という呼び方は聞いたことがありません。)

北極星を見つけよう

 カシオペア座から北極星を見つけることができるのですが、その方法をご存じですか。北斗七星からたどる方法もありますが、北斗七星が見えない季節にはカシオペアからたどる方法を覚えておくと便利です。下のリンクから確認してみてください。(春の星図なので、180度位置を回転させる必要があります)

 北極星の探し方

ペルセウス座

カシオペア座の下から右下

 カシオペア座がわかったところで、これを手がかりにペルセスウ座を探しましょう。この時期、大まかに言えばペルセウス座は、カシオペア座のすぐ下側から右下側に見えます。「く」の字を逆さまにしたような星のカーブが2列に並んでいるので、比較的わかりやすいと思います。

 ペルセウス座は、星座絵で見ると、右手(左側)に剣を振りかざし、左手(右側)には女怪メドゥサ・ゴルゴンの生首をたずさえた勇ましい姿に描かれています。

ペルセウスの女怪退治

 ある時、勇者ペルセウスは「王様にメドゥサの首を献上しましょう」と言い放ちました。しかし、「メドゥサは髪の毛が生きた蛇でできていて、その顔を見ただけで石にされてしまうという恐ろしい怪物だ。その首を献上しようなど、とても無理な話だ」と誰もが思いました。

 ペルセウスは、メドゥサの顔を見ただけで石にされてしまうと聞いていたので、盾を鏡のように使って直接メドゥサを見ないようにしました。ペルセウスはメドゥサが眠っているすきに近くへと近づいたのですが、メドゥサの髪の毛の蛇たちはペルセウスに気づき、かま首を持ち上げました。さすがにメドゥサもこれに気づき、目を覚ましたのですが、次の瞬間、メドゥサの首は床に転がり落ちていました。メドゥサの血が岩にしみこむと、そこから羽の生えた真っ白な天馬(ペガスス座)が飛び出してきました。ペルセウスは首を拾い上げると天馬にまたがり、堂々と帰ってきたのだそうです。

アルゴルの模式図悪魔の星、アルゴル

 ペルセウス座にはα星とβ星のふたつの2等星がありますが、それぞれミルファクとアルゴルと呼ばれています。この時期には、両者がちょうどほぼ同じ高度に見えますので、左側がミルファク、右側がアルゴルと覚えておきましょう。(下の絵を参照)

 ところで、右側のアルゴルはアラビア語のラス・アルグルからきていますが、その意味は悪魔の頭という意味です。星座絵で見ると、ちょうどアルゴルはペルセウスが抱えたメドゥサの額のところに位置していますので、このように呼ばれています。

 アルゴルは、明るさを変える変光星です。アルゴルを注意深く観測すると、正確に2日と20時間49分の周期で2.1等星から3.4等星の間で明るさを変えていることがわかります。昔の人々にとって、天界は不変のものだと考えられていただけに、明るさを変えるアルゴルは、悪魔の星と呼ぶにふさわしい星だったのかもしれません。

 実はアルゴルは、右図のように明るい主星の周りを暗い伴星が回っている連星系で、暗い伴星が明るい主星を隠すときに光度が暗くなります。日食のようなことが周期的に起こっていると考えるとわかりやすいでしょう。

 アルゴルの変光を観測する場合、お隣の2等星ミルファク(下の星図ではアルゲニブ)と明るさを比較してみるとわかりやすいと思います。あなたも変光星の観測にチャレンジしてみられてはいかがでしょうか。

ミルファク、アルゴルの位置と二重星団

二重星団二重星団

 ペルセウス座の北のはずれ、カシオペア座との境界近くには、二重星団と呼ばれる有名な星団があります。同じような大きさで、星の集団が満月ほどの間隔をあけて並んでいるので、このような名前がつけられています。空が暗い場所で見ると、肉眼で見ても天の川が濃くなったように、ぼんやりとした光のかたまりが2つ見えます。

 双眼鏡でもあればこのようすがはっきりとわかり、天の川を背景に、それは美しい眺めとなります。天体望遠鏡では右の写真のように見え、何度見てもため息が出るような美しさです。

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つる: はぁ〜〜。どう、ため息色っぽい?
(色っぽいわけないやろ。気持ち悪いんじゃ。)
つる: はぁ〜〜。
(オエーッ。)
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アンドロメダ座

カシオペア座の右

 アンドロメダ座もカシオペア座をたよりに探してみましょう。この時期のアンドロメダ座は、右上斜め方向へ2等星が3つ並んでいます。このうち、一番下側の星は、カシオペア座のちょうど右方向にありますから、にぎりこぶしを作って、2個半から3個分ほど視線をカシオペア座から右方向へずらせば、すぐに見つかると思います。

 ペルセウス座から見れば、アンドロメダ座は右上方向に位置しますので、こちらからでもおよその位置は見当がつくと思います。

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(おい、見当がつかへんぞー。)
つる: 全然違う方向を見てるやないか。お前みたいなんを見当外れって言うんや。
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 一番下側の星が見つかれば、右上方向へと視線をずらしていけば、広い間隔で2等星がさらに2個並んでいるのがわかるでしょう。一番下側の星はアンドロメダ姫の足になり、真ん中の星は腰、一番上側の星は頭になります。

ペルセウスに救い出されたお姫様

 アンドロメダは、古代エチオピアのケフェウス王とカシオペア王妃の間に生まれた美しいお姫様でした。ある時カシオペアは、娘の美しさを自慢するあまり、「アンドロメダは、海のニンフ、ネイレード五十姉妹よりも美しい」と言ってしまいました。これを聞いた海の神ポセイドンは大いに怒り、お化け鯨(くじら座)をエチオピア海岸へと差し向けたのです。

 お化け鯨は猛威をふるい、エチオピア海岸では多くの人達が犠牲となりました。困り果てたケフェウス王は神のお告げを聞くことにしましたが、そのお告げはなんと、ポセイドンの怒りを静めるには、アンドロメダ姫を化け鯨のいけにえとして差し出すしかないとのことでした。そこで王は、泣く泣くアンドロメダ姫をエチオピア海岸に鎖でつないだのでした。

 しばらくすると、お化け鯨はアンドロメダ姫に襲い掛かりました。その時です。天馬にまたがったペルセウスが、アンドロメダ姫のそばを通りかかったのは。ペルセウスはすぐさま、先ほど退治したばかりのメドゥサの首を、鯨の顔の前に突きつけました。すると、さすがのお化け鯨もたちまち石になってしまい、海の底へと沈んでしまいました。

 こうして、アンドロメダ姫はペルセウスによって無事に助け出され、その後ふたりはめでたく結婚しました。めでたし、めでたし。

アンドロメダ大星雲アンドロメダ大銀河(アンドロメダ大星雲)

 アンドロメダ座には、アンドロメダ大星雲があるのを知っていますか。わが太陽系が属する銀河系のすぐお隣の銀河です。すぐお隣といっても、その距離は実に230万光年。気が遠くなるほど離れたところにあります。私たちが肉眼で見える星までの距離の多くは数十光年以内、遠く離れたものでもせいぜい数千光年程度しかありません。ですから、アンドロメダ大星雲はものすごく離れたところにあることがおわかりいただけると思います。

 アンドロメダ大星雲を探す場合、アンドロメダ座の3つの2等星のうち、真ん中の2等星ミラクからたどります。ミラクよりも暗い星が左上方向へ2つ並んでいるので、これをたよりに探すようにします。詳しくは、下のリンクを参考にしてください。

  月ごとの星空の中にあるアンドロメダ大星雲
  探そう目印/惑星/星雲・星団の中にあるM31(アンドロメダ大星雲)

 空が暗い場所なら肉眼でも小さな雲の切れ端のように見えているので探す苦労はないのですが、一般的には双眼鏡が必要と思います。あなたも、230万年前のアンドロメダ星雲の光の輝きを感じてみませんか。

アンドロメダ銀河の位置

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女 : (わざとらしく)私にもペルセウスのような人が現れないかなあ・・・。
男 : 君につながれた、恋という名の鎖から、僕が解き放ってあげるよ。
女 : うん。(ニッコリ)
つる: 何が「恋という名の鎖」や。わけわからん。それに、ふたりして神聖なギリシャ神話をダシに使うとはけしからん!!
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