ZTF彗星はアメリカのパロマー天文台で行われるサーベイ Zwicky Transient
Facility (ZTF) によって、昨年3月に17.2等で発見された新彗星です。ZTFは大型望遠鏡と高感度・広視界カメラによって北天全体を撮影し、小惑星・彗星・超新星などを発見しています。
ZTF彗星は1月12日に近日点通過して太陽に最も近づきます。そして2月2日未明に地球へ0.28AUまで近づき、この頃に5等くらいまで明るくなるのではないかと期待されています。
難しい話は後回しにして、ZTF彗星を見つけたいですね!
つるちゃんのオススメ日と彗星が見える位置をZTF彗星を見つけようのページで、星図を使って解説しました。また彗星を初めて観測される方は、ZTF彗星を見つけるコツも参考にしてください。
ZTF彗星は2月2日の未明に地球へ最接近します。明るさは4.9等ですから市街地から少し外れると、双眼鏡を使えば楽に見つけられます。しかし肉眼で見つけるのは、空が十分暗くて慣れた人でないと難しいでしょう。
それでは下の星図をご覧ください。2月1日の21時ごろ、真北を向きましょう。空の中ほどよりも低い位置に2等星の北極星(ポラリス)が見つけられますか?
その真上へ大きく離れたところにZTF彗星があります。双眼鏡で見ると丸くてぼんやりしています。小さな雲の切れ端といったところでしょうか。もし楕円形をしていれば、それは彗星の尾によるものです。果たしてどんな形に見えるでしょうか。
2月1日 21時 北の空
2月1日 21時 拡大図
ところで21時ごろだと月があるため、淡い彗星は見えづらくなってしまいます。そこで思い切って、月が沈んだ後(東京の場合)の4時半ごろに見てみましょう。時間の経過とともにZTF彗星の位置が変わりますので、見る方角は北北西になります。先の北極星から左下へ大きく離れたところにZTF彗星があります。
2月2日 4時30分 ※月没後
下の星図はZTF彗星が星座間をどのような経路をたどって移動するかを示したものです。2月2日未明に地球へ近づくことから、1日の移動量が大きくなっているのが特徴です。
2023年の年初から次第にスピードを上げながら北の方へ大きく移動し、天の北極へ近づきます。この前後、東京では1月下旬から2月上旬まで一日中沈まない周極星となります。その後は逆に大きく南下する経路をたどります。
位置変化(3日間隔) |
下の軌道図は地球へZTF彗星が地球へ最も接近する日の太陽系のようすです。ZTF彗星の軌道傾角は110度ほどあり、地球の公転軌道面に対して垂直に近い軌道を描きます。このため地球軌道面を北から南へ串刺しにするように横切ります。
軌道図 |
地球へ近づくにつれてZTF彗星は明るくなります。6等を切って肉眼彗星になるのは1月20日ごろです。地球と最接近する前後、1月30日から2月2日までが明るさのピークで、4.9等に達します。以降は再び暗くなっていき、6等台になるのは2月11日ごろです。
※一般的に彗星の明るさは予報からズレることが多いため、目安程度にお考え下さい。
日付 | 明るさ(等級) |
---|---|
1月08日 |
7.1 |
1月11日 |
6.8 |
1月14日
|
6.5
|
1月17日
|
6.3
|
1月20日
|
5.9
|
1月23日
|
5.6
|
1月26日
|
5.3
|
1月29日
|
5.0
|
2月01日
|
4.9
|
2月04日
|
5.1
|
2月07日
|
5.4
|
2月10日
|
5.9
|
2月13日
|
6.3
|
2月16日
|
6.7
|
2月19日
|
7.1 |
光度曲線グラフ |
一般的に太陽へ近づくほど彗星の活動が活発になって明るくなりますから、太陽との距離(日心距離)は重要です。ZTF彗星の近日点距離は1.11AUと地球の公転軌道よりも外側ですから、それほど期待できないかもしれません。ZTF彗星の場合、地球との距離が重要になります。最も接近するのは2月2日未明で、0.28AUまで近づきます。
※1AUは地球と太陽間の距離に相当し、およそ1.5億Km。
地心距離(地球との距離)のグラフ |
このページのシミュレーション画像は、Windowsパソコン用の自作ソフト「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」を使用しています。無料のフリー版を使っても、このペーシのようなシミュレーション画像を表示することができます。つるプラへのZTF彗星データ設定方法より、ソフトのインストールとデータ設定を行ってください。 ※計算精度の関係で位置が多少ズレることがあります。ご了承ください。 |