メモリアル金環日食

 2012年5月21日に見られた金環日食。金環日食や大きな部分日食をご覧になられた方は、あの時見た太陽の姿が、きっと目に焼きついていることでしょう。つるちゃん自身は運良く金環日食を目にすることができましたが、直前までハラハラ、ドキドキでした。つるちゃん自身の体験をつづりながら、あの興奮をもう一度呼び起こしたいと思います。

金環日食の速報 ※以前に金環日食の解説ページに掲載していたもの

5月21日の金環日食で見られたベイリービーズの連続写真
 第3接触頃、大阪府岸和田市にて
第3接触の際に見られたベイリービーズ

ベイリービーズの拡大(上の画像左から1個め/3個め)
ベイリービーズの拡大写真

第3接触頃の金環日食
 読者のブン太郎さん撮影
読者のブン太郎さんが撮影された金環日食 

 


 ここからは、つるちゃんが行ってきたことを、準備期間も含めて過去から順に振り返っていきます。

1年半前 〜日食専用サイトの構想

 2012年は金環日食がある年。この日食では太平洋側に連なる大都市を金環帯が大きく横切る。それだけに空前の天文現象として全国で注目されることだろう。

 金環日食の前にはぜひとも日食の専用サイトを作りたい。それというのも「つるちゃんのプラネタリウム」は作りが古すぎる。おまけにディスク容量に制限があって、できることが限られる。この際、スタイリッシュでカッコいいサイトを作ってみたい。よし、日食にテーマを絞った日食サイトを作ろう! これが後に「日食ナビ」となるのだが、当時は構想だけの名もなきサイト。

1年前 〜早くもホテルを予約

 2012年に日本で金環日食が見られることは、十年以上も前から知っていた。「つるちゃんのプラネタリウム」でも「つるぷらが描く珍しい天文現象」の中で、サイトを開設した当初から紹介している。その金環日食が1年後に近づいてきた。居住地からでも見えるけど、できることなら中心線付近で少しでも長い時間観測したい。日食が近づくと宿泊施設はすぐ満室になるだろう。早い目に宿泊施設を予約しておかなきゃ。

 ということで、当日から1年も前に、中心線が通る和歌山県那智勝浦町にある温泉宿を予約した。温泉に入ってくつろいで、金環日食まで見ようという魂胆。あ〜、考えただけでも幸せ。

日食ナビのトップページ5ヶ月半前、2011年12月7日 〜日食ナビをオープン

 2011年12月7日。今日はつるちゃんにとって記念すべき日。先に話をした日食専用サイトがグランドオープンしたのだ。その名も「日食ナビ」。金環日食という現象だけでなく、観察方法や撮影方法、さらには過去・未来の日食など、日食のことを全般的に解説したのが特徴。少しでも多くの方に日食のことを知っていただき、観察してほしいという強い思いから。

 それにしても構想から完成まで丸一年。サイトの色使いやデザイン、ネタ集めなどを全部一人でこなす。日食写真の掲載許可をいただくため、メールを何通も送る。撮影に必要な機材を紹介するため撮影キットを購入。自ら撮影してカメラマンに。後には「日食ナビ」のお姉さんの撮影までも。

 手間暇かけて苦労しまくった挙句の果てに、完成まで予定の3倍以上も時間がかかってしまった。でもこれなら世の中に出しても恥ずかしくないのでは? 写真を提供いただいた方からは、「いいサイトになりましたね。」などと評価をいただく。お世辞半分とわかっていても、やはりうれい。しかしこの日のアクセス数はサイト全体で614。期待5割、不安5割で五分五分というのが正直なところ。

金環日食全国ガイドの一例2ヶ月半前、2012年3月9日 〜金環日食全国ガイド

 年が変わって2012年になった。ここで、ぜひともやりたいことがある。それは県単位ではなく、もっと細かいレベルでの日食予報。できれば市町村単位で予報したい。日食は場所が違うと時刻や欠け方が大きく違う。それだけに、みんなにとっては自分の住むところで日食がどう見えるかが重要。

 そこで、「つるちゃんの日食ソフト」大改造に着手。画像データや解説文章を市町村単位にHTMLファイルとして自動生成するプログラムを作成する。しかし、他にもやることがあって、とにかく忙しい。この件に関していえば、本当に睡眠時間を削った分だけしか前に進まない。何もせず寝てしまっては絶対に完成しない。一人でやることの辛さや限界を感じながらも続けるしかない。毎日たとえ10分でも、このための作業時間を確保する。みんなに日食を見てほしい。みんなきっと見てくれる。そう信じながら・・・。

 必死に時間を捻出して丸二ヶ月もかけてようやく準備が整った。年明けから睡眠時間を削りながら作りあげたこのページは金環日食全国ガイドとよぶことにした。いよいよ今日はこのページを更新する日。全部で7万ファイルほどを4時間かけてアップロードした。みんな見てくれるかな?

3月1日から4月21日までのアクセス数グラフ1ヶ月前、4月21日 〜うなぎ上りのアクセス

 5月21日まであと1ヶ月。大きな天文イベントが近づいてきて、マスコミ報道にも熱が入る。それとともにホームページへのアクセスもうなぎ上り。この調子でいくと、「つるちゃんのプラネタリウム」も「日食ナビ」もアクセスが多くなり過ぎて、ページが出なくなるのではないかと心配になってきた。

3月1日から5月14日までのアクセス数グラフ1週間前、5月14日 〜眠いなんて言ってられない

 5月14日。金環日食まであと1週間。マスコミでも連日大きく取り上げられて、世間もだいぶ過熱してきた。でもつるちゃんの場合は、1年半も前からそれ以上に過熱状態。それが1週間前になったら、どれだけ盛り上がっていることか。

 アクセスの方も以前に急増した山が小さく見えるほど増加の一途をたどる。今日は日食の1週間前ということもあって、前のピークを一気に抜いてきた。ホームページは毎日のようにページを追加したり修正したりで大忙し。睡眠時間を削りまくっての作業。全国が注目している大きな日食だけに、「つらい」「眠い」などと言ってられない。みんなにページを読んでもらって日食を見てほしい。天文サイト運営者が今ページを作らないで、一体いつ作るというのか。気持ちは超がつくハイテンション。しかし・・・。肝心の天気予報がイマイチ。こちらは唯一、テンションが下がる材料。

スッキリのお天気コーナーで放送された際の写真3日前 〜スッキリ!!お天気コーナーで放送

 今日5月18日はちょっと特別な日。日本テレビ「スッキリ!!」という番組のお天気コーナーで、「日食ナビ」の画像が使われる。以前に連絡をいただき、場所による金環日食の見え方の違いが説明される。当日は会社があるので録画で拝見することに。

 あっ、見慣れた日食画像がTVに映ってる。よく見ると画面右下には「日食ナビ」の文字も。お天気コーナーなのに、場所による見え方の違いをしっかりと説明。すっかり嬉しくなる。

 ところで最近は報道関係の方とメールをよくやり取りする。というか、やり取りしない日はない。こんな私設サイトに連絡が来るくらい、今回の日食が注目されてるということか。

 5月21日6時 実際の天気図
 提供: 気象庁

2日前 〜ホテルをキャンセル

 5月19日。金環日食が2日後にせまる。天気予報は当初と比べて良くなるどころか悪くなる一方。予想天気図を見ると、ナント、紀伊半島沖に前線を伴った低気圧。南東斜面で雲が出やすいパターンだけに、那智勝浦は良くないかも。どうしよう。悩みに悩んで1年前に予約した温泉宿をキャンセル。こんなはずじゃなかったのに。本当に悔やしいが、今はそんなことは言ってられない。早く観測地を決めないと。

 今回の日食の場合、関西では南へ行くほど金環継続時間が長くなる。自宅で観測した場合は金環継続時間がごく短い。大阪市内では多少長くなるが、それでもやはり短い。かといって南へ行くほど天気が悪そう。ほどよい地点で折り合いをつけよう。ここで、自分が書いた大阪府の解説文を思い出す。大阪市よりも少し南側に位置する岸和田市では、大阪市より41秒も長く継続します・・・。お〜。そうだ。岸和田にしよう。NHKの朝ドラ「カーネーション」の舞台となった、あの岸和田だ。天気予報や雲のメッシュ予報とにらめっこ。当日金環となる7時台の予報は晴れ。よさそうじゃん。ということで岸和田のホテルを早速予約した。しかし再び天気予報を見ると、7時台が曇りの予報に変わっていた。ガッチョ〜〜〜ン!

 ところで今週はホームページを更新し続けて、もうグッタリ。でも、にわか金環日食ファンになった方も多いはず。最後の力をふりしぼって金環日食直前ガイドのページを作る。本当はもっと早く作りたかったけど、忙し過ぎてとても間に合わず、ようやく今日になって完成した。しかし、ふと気が付けば、自分用の直前ガイドが必要なくらいに何も準備ができていない。大慌てで撮影の露出時間や日食の時間を調べて当日のスケジュール表を作る。この時役立ったのが、自分が作った金環日食全国ガイド。「詳しくてなかなかええやん!」と自画自賛。土地勘のない岸和田だけに、観測地の候補も調査。あ〜忙しい!!! それもこれも全部、待ちに待った金環日食のため。

前日 〜最後のサイト更新

 5月20日。いよいよ金環日食が明日にせまる。そんな中、最大食前後7分間、1分ごとの太陽の欠け方を当サイトに追加した。内容的には「日食ナビ」と同じものだが、やはりクライマックスの欠け方を、本家「つるちゃんのプラネタリウム」でもみんなに見てほしい。画像ファイルやHTMLファイルを全国の市町村分だけ作るという、3日がかりの大作業。データ量の関係から「日食ナビ」にはおよばないが、なんとか日食にギリギリ間に合った。みんな見てくれるかな? それを見とどける間もなく、少し寝てから岸和田に向けて出発。あ〜、眠たい。おまけに天気は下り坂で雲行きが怪しい。

 明日が天気であることを祈りながら、観測場所の下見。ウロウロ歩いて結局トイレのある海岸近くの公園に決めた。ホテルに帰る途中、「だんじりグッズ」「だんじりショップ」なるお店をみかけた。さすが、だんじり祭りで有名な岸和田だ。明日は4時起きということで、缶チューハイを飲んで今夜はサッサと夜10時に就寝。

5月21日 〜金環日食の当日

いざ、観測地へ
 いよいよ金環日食の当日。朝4時に目覚ましが鳴って飛び起きた。眠いけどそれどころじゃない。あと2時間ちょっとで日食が始まる。カーテンを開けると、わ〜っ! 見渡す限り見事な曇り空。萎えそうになりながら観測場所へ向かう。道路には水溜りができてる。あ〜っ、ダメかも。
曇り!
 観測地についたら即カメラをセッティング。と思いきや、いきなりサンドイッチを食べ始めた。腹が減っては戦はできぬ。そう。今日は戦なのだ。
 太陽がある東の方角は雲の切れ間があるものの、基本的には曇り。5時42分にチラッと太陽が見えてあわてて撮影したのが右の写真。雲のため完全に露出不足。少し晴れ間がのぞく西の方角がうらめしい。西に位置する淡路島あたりにしておけばよかったかな? せめて金環日食中だけでも雲が切れてほしい。いや、雲が切れずに雲越しでもいい。金環日食をこの目で見たい。
6時17分、日食開始
 右の写真は開始5分前の太陽。もうすぐ日食が始まるというのに、この様子ではチラッと見えたらいい方かも。そしてとうとう、日食開始となる6時17分がやってきた。しかし相変わらず太陽は厚い雲の中。時おり太陽の一部がチラッと見える程度で、日食観察はとても無理。
 パソコンに表示した「つるちゃんの日食ソフト」の画像では、もうわずかに欠け始めている。そんな折、2009年の悪夢を思い出した。あの時は中国の上海まで皆既日食を見に行った。でも激しい雷雨に遭い、それどころではなかった。皆既日食に続いて金環日食もダメか。絶望感が漂い始める。
6時25分、初の日食写真
 開始から8分が経過。食分0.12。雲に一瞬切れ間ができた。これを待ってたとばかりに1枚撮影。双眼鏡でものぞいてみるが、すぐに雲の中へ。太陽が欠けた姿を一瞬でも見れてよかった。
6時37分、日食らしい太陽
 食分0.28。雲の様子に変化が見え始める。雲が薄くなったり切れたりするようになってきたのだ。今はベタ曇りではない。太陽を見るとハッキリ欠けていて日食らしい。太陽からはるか下の方は青空の領域がある。風向きから考えると、もしかすると晴れてくるかも。多少期待がでてきた。
 通りすがりの人も気になるようで、声をかけてこられる方もいらっしゃる。日食グラスや双眼鏡で見ていただくと、一様に「お〜っ」という声。こんな太陽の姿を目に焼き付けておいてほしい。
6時55分、半分欠けた
 日食開始から38分が経過。食分0.53。相変わらず雲が多いが完全な曇りではない。といっても太陽の上に雲がなく、スカッと晴れている時間はあまりない。
 太陽の半分以上が欠けてきて気分が高まる。当初は5分刻みで撮影しようと思っていたが、そんな方針はどこへやら。太陽が見えている時にシャッターを押すしかなく、これを繰り返す。
 ここへきて少し風が出てきた。太陽の下の方からは、青空が広がってきている。風が雲を吹き飛ばし、金環日食が始まる頃には晴れてくれるかも!
7時10分、三日月形の太陽
 食分0.72。金環日食まであと20分を切る。太陽周辺の雲がなくなってきた。風上には雲がなく、しばらくの間は晴れてくれそう! 太陽も三日月のような形になってきて、クライマックスが近づいていると感じる。食分が大きくなったせいか、日差しがだいぶ和らいだ。
7時25分、カチューシャ
 食分0.91。金環まであと3分。太陽付近の天気は快晴。太陽がすっかり細くなり、女の子がつけるカチューシャのような形になってきた。これぞ金環日食直前の太陽。細くて先のとがった太陽を双眼鏡でじっくりと確認。金環日食が2分40秒後にせまり、なんともいえない興奮状態。
 空を見ると太陽光がすっかり和らぎ、風景がなんとなく色褪せて見える。それに比べて空の色は妙に青い。いわゆるプルキニエ現象。
7時28分、第2接触
 食分0.94。とがった角の先がどんどんと伸びていく。2つの角がつながる直前、ファインダー越しに一瞬ベイリービーズが見えたような気がする。シャッターを切りまくる。そしてリングは完全につながった。ついに金環日食!!!
 1年半以上もの間、日食ソフトを改良し、「日食ナビ」や「つるちゃんのプラネタリウム」のページを作り続けた。直前の1週間は寝る間も惜しんで市町村別のページを更新したり、直前ガイドも作成。それもこれも、この一瞬のため。長い間の苦労が一気に吹き飛ぶ。太陽と月が織り成す神秘的な光景。もう死んでもいいとさえ思えた。
7時29分、金環日食
 食分0.946。最大食直前。岸和田は中心線からは完全に外れている。リングの真円率は26%ということで、明らかに中心がズレている。でも完全に金環状態! 全国のみんなは見てくれているかな?
 それにしても今まで金環日食という言葉を何度口にしてきたことだろう。またこの光景を何度思い描いたことか。そして今、自分が作った日食ソフトが描くとおり、太陽がちゃんとリングの形に見えている。なんともいえない感激の波が何重にも押し寄せてきた。もう泣きそう。
7時31分、第3接触
 食分0.94。金環日食もそろそろ終わり。太陽リングの下の方が細くなってきた。次の瞬間、途切れてベイリービーズに。第2接触と違って第3接触ではベイリービーズの規模が大きい。しかし感動に浸る間もない。あっという間に太陽と月が作る環は完全に途切れてしまい、金環日食は終了した。
 もっと続いてくれたらいいのに。感動の時間はあまりにも短かすぎる。那智勝浦だったらもう少し長く見えたはずだが、そんなことはもうどうでもいい。岸和田で見ることができた金環日食に感謝。
7時33分、再びカチューシャ
 食分0.93。興奮冷めやまぬ中、太陽のリングは完全に切れて、再びカチューシャのような形。こんな大きな日食は今後もなかなか見られない。しっかり見ておかないと。日食グラスや双眼鏡を使って太陽を観察しまくる。そうするうちにもカチューシャの先の距離がどんどんと離れていく。

7時35分、木もれ日による日食
 食分0.90。金環日食終了から4分が経過。金環中に撮ろうと思っていた木もれ日の写真だが、興奮してとても撮れる状況ではなかった。今ならまだ食分も大きいし、ぜひ撮っておこう。でも木の葉によるピンホール像は明瞭でない上に、風で揺れると綺麗に撮影できない。何度も撮り直したうちの一枚が右の写真。
7時38分、手を使ったピンホール
 食分0.86。今度は自分の手を使ってピンホール撮影。意外にはっきりと欠けた太陽像が映し出される。レンガの柱に映った三日月形の太陽をカシャッ。
7時48分、見えてきた黒点
 食分0.74。太陽はだいぶ輝きを取り戻してきた。それでもまだ4分の3は欠けた状態。三日月よりも少し太いくらい。月によって隠されていた大きな黒点が一つ見えるようになっていた。
8時00分、2個目の黒点
 食分0.60。金環終了から約30分が経過。太陽は4割まで復帰。普段と比べて光量が半分になる食分だ。しかし周囲はすっかり明るくなった感じで、日食中だとは気づかない。双眼鏡で見ると2個目の大きな黒点が欠け際に復活していた。
8時15分、日食終盤
 食分0.43。太陽の半分以上が回復。日食も終盤だ。4時に起床してから既に4時間が経過。さすがに少し疲れてきた。日食中で嬉しいはずなのに、倦怠感が体を支配する。
 日食帰りと思われる人に「まだ見えてるの?」と聞かれる。双眼鏡でお見せすると、「お〜っ。まだ欠けてるなあ。双眼鏡はよく見える。」と言って驚かれた。別の年配の方は「わしゃあ、日食グラスの方がええ。」と言って双眼鏡には見向きもされない。同じ日食でも見方は人それぞれ。
 ここへきて少し雲が出てきた。太陽が見えなくなるほどでもないが、この後は薄い雲がちょこちょこ通過していく。
8時35分、3個目の黒点

 食分0.20。太陽が欠けている部分がすっかり少なくなり、あと5分の1となった。それもそのはず。部分食終了まであと20分もない。双眼鏡で見ると、欠け際に3個目の大きな黒点が出現している。
 引き続き薄い雲が次々と通過する。日差しが強くなってきて少し暑い。そして風が強風に変わってきた。軽いビニール類だけでなく、少し重さがあるものまで飛ばされる。お茶が4分の1残った小型ペットボトルは風で倒れてしまい、重しとしては役に立たない。あっ、またビニールが飛ばされた。その度に追いかけっこして集中できない。
8時52分、まもなく終了

 食分0.02。今や太陽の左下がほんの少し欠けているだけ。日食はまもなく終了する。最初は天候にヤキモキして、その後は金環が見れて大はしゃぎ。最後は強風にイラッ。感情の激しいアップダウンに加え、ほとんど立ちっぱなし。さすがに心身ともに疲れがみえる。写真を撮るのも最終段階だと気力をふりしぼる。
8時54分、終了
 ついに月の影から抜け出した。もはや太陽が欠けている部分はなくなった。2時間37分間続いた日食もとうとう終わってしまった。しかし、なんという清々しさ。金環日食を見ることができた岸和田というこの地に、限りない愛着を覚える。
 片付けをしていたら溶接用マスクで日食を見たというお兄ちゃんに声をかけられた。聞けばマスクで何人もの人に金環日食を見てもらったとのこと。「本当は目に良くないんだけどな。」と思いつつ、あの感動を一人でも多く味わっていただけたことを素直に喜んだ。
 睡眠不足を繰り返していた上に長時間立ちっぱなしで体は疲れきっていた。しかし、なんともいえない充実感を味わいながら、岸和田の観測地を後にした。

観測の後で 〜感動の136万アクセス

4月1日から5月21日までのアクセス数グラフ。14日につけたピークがかすむほど5月21日の伸びは強烈 帰路の途中。YAHOO!を見ると「日食ナビ」の金環日食全国ガイドにリンクが張られていた。それでなくてもアクセスは多かったはず。その上にYAHOO!からリンクが張られたとなると、アクセスが多すぎてページが表示されなくなってるかも。急いで「日食ナビ」へアクセスするとOK。よかった。そして「つるちゃんのプラネタリウム」もOK。その後アクセス数を確認すると、とんでもないことに。今まで見たことない数字が並んでる。5月21日だけで「日食ナビ」はサイト全体で735,839アクセス。「つるちゃんのプラネタリウム」は632,168アクセス。両方合わせて1日で1,368,007ものアクセス!

 みんなサイトを見てくれたんだ。苦しかった日々が思い出されて胸が熱くなる。サイト運営者としてはある意味、金環日食そのものよりも、この瞬間を待ち続けていたのかもしれない。金環日食を見た時は自然が創り出す奇跡の天文現象に、心酔し敬服した。しかし今度は別の感動が全身を貫いて体が震えた。「日食ナビ」を作ってよかった。金環日食の解説ページを更新し続けてよかった。ありがとう、読者のみなさん。そしてありがとう、金環日食。

 


つるちゃんのプラネタリウム 金環日食の解説 2012年5月21日