ツバーンはりゅう座の中にありますが、りゅう座は天の北極に近い星座です。このため本州付近の緯度ではツバーンは周極星となります。ですから一年中見ることができるのですが、21時頃に高度が高くなるのは6月頃になります。
星名 | 学名 | 星座 | バイヤー符号 | フラムスティード番号 | 赤経 | 赤緯 | 実視等級 | 絶対等級 | 距離 | スペクトル型 |
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ツバーン | Thuban | りゅう座 | α星 | 11番 | 14h04m23s | +64゜22’33” | 3.68等 | −1.16等 | 303光年 | A0 |
α星、β星などのバイヤー符号は、その星座の中で明るいものから順に振られている場合が多いのですが、りゅう座の場合はγ星が2.2等星で最も明るい星となっています。α星であるツバーンは3.7等星の目立たない星です。β星、δ星、ζ星、ι星なども3等星ですから、これらの星もツバーンよりも明るいことになります。しかもツバーンの意味は「竜」なのですが、どうしてこんなに目立たない星がα星なのか、とても不自然な気がします。
地球自転軸の歳差運動によって、約2万6千年の周期で北極星は年月とともに変わっていくのですが、紀元前2790年頃にはツバーンが北極星でした。紀元前3000年頃にできたエジプトのあるピラミッドでは、遺体を安置した部屋から外部へ通じる通路の方向は、ツバーンの方向に向けた通路ではないかという説もあるそうです。